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text by S.M.



私がこのようにお話しすることになるとは思いませんでした。

はい、陛下は報道をとても重要だと考えておりますから、求められれば可能な限りで応えるようにと言いつかっております。

この話は新聞の王室特集に載るのでしょう?

ええ、心得ております。

王室の権威に傷がつくことがないように努めてまいりますわ。

――はい、よろしくお願いします。


私はこの春から侍女として王城に入りました。

まだまだ見習いで、王族の方々と直接関わることはほとんどありません。

――あら、がっかりされました?

私の主な仕事は、客間を整えることです。

この国は国外のお客様も多いので、城の離れには外国のお客様がお泊りになられる専用の部屋がたくさんあります。

毎日この部屋のリネンを整え、おいでになられるお客様に合わせてお花を飾っております。

少し前までは妃殿下が直々にお花を選んでおられましたが、最近は王子様のご婚約者であられる北部辺境伯様のご令嬢が選んでおられます。

客室の花を選ぶのは、代々王妃の座につくお方がなさってきた伝統なのです。

たまに姫様もお手伝いになって、お二人で花を選んでいる姿もお見かけしたことがあります。

王城の植物園は一般にも開放されておりますのでご存じかと思いますが、一般の方が入ることができない中庭は、薔薇がとても美しいのです。

中庭の薔薇は妃殿下が先代の王妃様から譲り受けられ、庭師と共に毎日欠かさずお手入れしておられます。



お部屋を整えたら、リネンの洗濯です。

洗濯場は騎士様方の鍛錬場の近くにありますので、殿方が稽古をしている様子を音で聞きながら、シーツを洗うのが習慣となっております。

国のために厳しい鍛錬をしている騎士様方のご様子を知るたび、私たち侍女も城を内部から守る者としての自覚を持たなければと、いつも思うのです。

客間はかなりの数がありますので、舞踏会のある日などは客間の準備と洗濯だけで一日が終わることもあります。

晴れた日に真っ白なシーツが洗濯場一面に干されると、達成感と共にさわやかな気持ちになります。



――ええ、そうです。

私も貴族の端くれでございます。

王城の侍女は貴族出身の者が多くおります。

特に、直接王族にお仕えする侍女は、一定以上の身分の者がほとんどです。

現王陛下は柔軟なお考えをお持ちで、お仕えするのに身分がなければならないということはありません。

基本は能力や適性が重視され、身元のはっきりした者であれば、誰でもお仕えできる可能性はあります。

ただ、身分の高い方は教養もすばらしいものをお持ちですから、自然と登用される人数が多くなるのだと思います。

もちろん、現王陛下をはじめ、王族の方々は国民の信頼も厚くお仕えしたいと思う者はかなりの数がおりますから、当然登用されるのはそう簡単なことではありませんが…私は運が良かったのでしょう。


侍女のお勤めは、王城で国の中央に関わる方々を私たちが支えているのだという誇りを持つことができる仕事です。

直接王族の方々にお仕えできるのはいわゆる花形と呼ばれる一部の者だけですが、自分の力次第でその職に就くことが十分にできることも魅力です。

冬にはまた来年の登用者の審査がはじまりますので、王城でのお勤めに興味のある方は、早めに役所に届け出ることをお勧めします。

来年の春、私にも後輩ができるのを楽しみにしております。


――これでよかったでしょうか?

はい、良い記事になさってくださいね。

この後、騎士様にも取材をなさるのだとか?

ええ、ではお呼びしますのでしばらくお待ちください。

失礼いたします。




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